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弟は突然の病に冒され病床につく。弟と病室で過ごす午後のゆったりとした時間を描く表題作に加え、四短編を揃えた作品。小川さんらしく、はかなくて何処か壊れそうなタッチが印象深い。 とくに、孤児院を営む夫婦の間に生まれた高校生彩と同年代で飛び込み選手である純との静かで、それでいて壊れそうなひとときを描いた「ダイヴィング・プール」は、個人的に最も気に入った。物語最後での純の台詞にはしびれた。 小川洋子:完璧な病室、中央公論新社、中公文庫 ISBN:412204443X、2004.11.25、590円 #
by tascabile
| 2004-12-31 16:39
| 読んだ本一般
ターミナル
久しぶりの更新。 トム・ハンクス主演のいかにも「クリスマス的な」ドラマ。「クーデターによって事実上祖国が消滅。パスポートが無効になってしまった東ヨーロッパのクラコウジア人、ビクター・ナボルスキーは、空港でアメリカへの門戸を閉ざされてしまう。やがて彼は、いつまで続くか分からない“滞在期間”中、どこの国にも属さない人間として、空港ターミナル内だけでの生活を始める。アメリカなのにアメリカではなく、しかし最もアメリカ的な場所で、食事をして、仕事をして、友人を作り、恋の花まで咲かせ、ビクターは“何か”を待ち続けているのだった…。」 確かに国際線の空港という場所は、誰にとっても、浮遊感といえば良いのか、居心地の悪さを与える場所ではないだろうか?出国手続きが終わった瞬間に、何か足下がおぼつかない感じを覚える。そんな場所を題材にした選択は非常に面白いと思う。 映画を観てを第一印象はトムの名演。ダメ男を演らせたら、彼はやはりトップレベルだと思う。ジョージ・クルーニーやブラッド・ピットでは、どんなに演技が上手くてもダメ。ブルース・ウィルスだったら、上手く演じられるかも。ダメ男を演じられるかどうかは判断が難しいが、個人的なポイントは肌着姿がセクシーかどうか。ランニングシャツをカッコ良く着こなせてしまったら、ダメ男は演じられない気がする(メッチャ偏見)。それを観るために映画館に行くなら、価値が大きいかも。 全体的にはいかにも「クリスマス」っぽい仕立てになっているので、そんなテイストが気になると言う人は面白く感じられないかも。純粋にヒューマンドラマとして観るなら一見の価値はあるかな。DVDを買うか判断に迷う作品でした。 #
by tascabile
| 2004-12-25 22:42
| 映画
とにかくなんでも「はかろう」という趣旨のもと、大学の先生方が「何を」「どのようにして」色々なものをはかるかが分かりやすく解説されている。 とにかく、何でもはかる。本書では、頭の良さから、毒の致死量、光の速度や地球の重さなど、「どうやってはかるんだろう」という素朴な疑問に答えてくれる。また、物理量だけでなく、携帯電話のアンテナの数や石油の埋蔵量、平均寿命、選挙での当確速報など、身近なデータの出所を教えてくれる。 地球が一回転する時間が24時間?違います。地球の子午線の1/40000が1m?違います。物事の単位は日々と変わっているというのがなかなか興味深い。 しかし、ブルーバックスを読んでいていつも感じるのだが、もう少し数字の表記をなんとかしてはくれまいか。縦書きの宿命かもしれないが、数量や数式が読みづらい。いっそのこと、こういう文書は横書きにしてほしい。 武蔵工業大学:なんでも測定団が行く、講談社、講談社ブルーバックス ISBN:4062574519、2004.8.20、940円 #
by tascabile
| 2004-12-01 20:55
| 読んだ本一般
日本の様々な地名について、そのコンテキストを明らかにする一冊。新宿からはじまり、九十九里浜や野口五郎岳、大歩危小歩危、打出小槌町、羽合など、有名、珍名が盛りだくさん。 地名一つとっても、そこには深い歴史があり、それを知るのはとても楽しい。地名はいきものであって、そこに住む人々によって活かされている。浮気町などは端から見ると、ネタにしか聞こえないが、そこにも誇るべき深い歴史がある。 昨今の市町村大合併で、昔ながらの地名が次々と駆逐されている。活きた地名を廃止、無味乾燥な市名を着けることに、地域住民は何の躊躇いもないだろうか?それとも、住民の意見を押し切って駆け込みで成立させた行政の拙政が問題か。 谷川彰英:地名の魅力、白水社、白水Uブックス ISBN:4560073783、2004.10.5、950円 #
by tascabile
| 2004-11-30 18:58
| 読んだ本一般
「彼らを見知っている女たちの意見を総合すれば、格好わるい、気持ちわるい、おたくっぽい、むさくるしい、だいたい兄弟二人で住んでるのが変、スーパーで夕方の五十円引きを待ち構えて買いそう、そもそも範疇外、ありえない、いい人かもしれないけれど、恋愛関係には絶対にならない、男たち」の物語。 友達としてなら、問題ないけれど、恋人にはなれない兄弟をめぐり、様々な人々との日々を綴った作品。兄弟の幸せで、だけど何かものたりない日々が淡々と綴られている。「もてない男たち」が主人公とあって、他の江國作品とは趣きが異なる。日常生活を描いたゆったりとした時間の流れは、相変わらずの筆力で書き上げられているが、「もてない男たち」の印象が少し希薄だった。「いい人なんだけど」というイメージは、あまり読み取れなかった気がする。 兄、明信の「お前のよさがわからない女ならいらない」という台詞が最も印象に残った。 江國香織:間宮兄弟、小学館、 ISBN:4093874999、2004.10.20、1300円 #
by tascabile
| 2004-11-28 19:55
| 読んだ本一般
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